キャリア自律と組織エンゲージメントを同時に高める「パーソナル・ブランディング」のススメ

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パーソナル・ブランディングのススメ

人的資本経営やエンゲージメントに注目が集まる中、ただの数字の向上ではなく、現場での行動変容を促すためには社員一人ひとりの「パーソナル・ブランディング」が必要になります。感情を動かす仕事を生み出し、自律的な行動が生まれる職場を作る考え方を解説します。

人的資本経営やエンゲージメントの向上が重要視されてきています。

一方で、「単なる数字の向上」に終始してしまい、現場の行動を促す浸透ができていないという課題も増えてきました。

キャリア自律を体現して、組織へのエンゲージメントを高めていくためには、「社員一人一人の強みを自分で定義し、パーパスから日々の習慣までを一貫させるパーソナルブランディングの確立」がポイントになります。

私たちは、パーソナル・ブランディングを「ステークホルダーから見た独自の役割を築き、感情移入が伴ったモノ,サービス,それらを生み出す仕事のこと」と定義しています。

キャリア自律やエンゲージメントの向上を考える上で、仕事の中でどのように感情移入をもたらすのか、そもそも、自分はどのような場面で感情移入をするのかといった“感情”を基軸にした自社・自己理解が欠かせません。

今回のセミナーレポートでは、エンゲージメント向上とキャリア自律を叶えるパーソナル・ブランディングの考え方と作り方をご紹介いたします。

エンゲージメントを向上させる「パーソナル・ブランディング」とは

エンゲージメントを向上させていくために、「自社らしさ」を浸透させていく施策と、従業員一人ひとりの「自分らしさ」が発揮できるよう言語化をサポートする施策の両面が必要になります。

エンゲージメントが注目を集めてから、サーベイやワークショップなどを通して「自社らしさ」を考える機会を増やしているものの、従業員のパーパスなどの「自分らしさ」を言語化していくことには限界がありました。

パーソナル・ブランディングが求められる背景

これまで500件以上の研修を実施する中で、取ってきた「個人・組織の悩みや課題」を集計すると、「自分のやりたいことがわからない」という課題が見えてきました。

最重要課題は、「自分にはやりたいことがわからない」

自分のやりたいことがわかっている状態であれば、「自社らしさ」の浸透を強めることによって、エンゲージメントの向上が期待できていました。

しかし、「自分らしさ」がわかっていない状態では、どれだけ自社のことを伝えても、「自分」と「会社」の重なりは増えません。

「自社らしさ」の発信の前に、従業員一人一人の「自分らしさ」を言葉にするサポートが今必要になってきています。

「パーソナル・ブランディング」とは

「自社らしさ」や「自分らしさ」を発信することによって、「感情移入が伴ったファンや機会の巻き込み」ができるようになります。

こういった感情移入を伴った人や機会が集まっていくことが、「ブランディング」と呼ばれていました。

エンゲージメントは「感情を伴った”やりたいこと”の実現」

その考えを応用することで、私たちはパーソナル・ブランディングを以下のように定義しています。

「ステークホルダーから見た独自の役割を築き、感情移入が伴ったモノ,サービス,それらを生み出す仕事のこと」

自分のパーパスから日頃のコミュニケーションまでを一貫した考え方が、パーソナル・ブランディングになります。

パーソナル・ブランディングについては、こちらの記事で詳しくご紹介しております。

パーソナル・ブランディングの効果

では、パーソナル・ブランディングを作ることによって、組織全体や従業員個人には、どのような効果があるのでしょうか?

ブランディングがあることによって、「この仕事は〇〇さんに相談しよう」「これで困ったときには、〇〇さんがいるから安心だ」といった「相手から自分らしさを軸に選んでもらう」という信頼を生み出すことができます。

そのような仕事が生まれてくることによって、自分がその仕事を「やる意味」を見つけることができ、没入感を持って仕事に取り組める社員を増やすことができます。

そして、そのような仕事の連続が、その社員のキャリアとなり、自らキャリアの軸を開発していくことができる「キャリア自律」へと繋がっていきます。

パーソナルブランディングによる効果
パーソナル・ブランディングの効果

また、一人一人が「自分らしさ」の軸を持ち、自分のパフォーマンスを発揮することによって、一人一人のワークエンゲージメントを高めていきます。

そして、上司や周囲がメンバーの「自分らしさ」を知り、日頃の声かけや依頼の仕方などを工夫できるようになることによって、組織エンゲージメント全体の向上に繋がっていきます。

エンゲージメントを高める「パーソナル・ブランディング」の作り方

エンゲージメント向上とキャリア自律に繋がる「パーソナル・ブランディング」の作り方をご紹介します。

パーソナル・ブランディングの素材を集める

パーソナル・ブランディングの核となるのは、私たちが日頃の生活の中で感じる「快(幸福感)」です。

パーソナル・ブランディングを作る際には、一人一人が持つ「快」を分析して、どのような場面で、どのようなシーンで幸福感を感じるのかを探究することからスタートします。

自分にとっての「快」を知ることが、パーソナル・ブランディングには必要

特に仕事をしていると「獲得の幸福感」であるドーパミン的幸福要素が多くなってしまいます。

しかし、エンゲージメントが高く、キャリア自律を成し遂げている方々にお話を聞いていくと、獲得の幸福感」だけではなく、「繋がり」や「心身」の幸福を仕事の中でも感じています。

仕事をしていると忘れてしまいがちですが、3つの幸福要素それぞれに目を向けることによって、自分らしさの軸を考える素材が見えてきます。

パーソナル・ブランディングを分析する

素材を集めた上で、分析しながら、パーソナル・ブランディングを作成していきます。

パーソナル・ブランディングを築く2つの視点

パーソナル・ブランディングを考える際には、二つの観点が必要になります。

1つ目は「レア」です。

自分が持っている「過去好きだったこと」や「人から褒められた強み」を分析することによって見つける、自分ならではと言えるものが「レア」です。

2つ目は「インサイト」です。

自分が経験してきたことから「世の中に感じる問題意識」や「プロとして発揮する価値」を分析して見つけるものが、自分にしかない「インサイト」です。

この「レア」と「インサイト」をクロス分析することによって、

「私といったら〇〇」と言えるパーソナル・ブランディングが生まれていきます。

パーソナル・ブランディングを作るためのクロス分析


セミナーではより詳細にパーソナル・ブランディングの作り方をご紹介しております。
無料動画セミナーもご覧ください。

https://www.and-or.jp/video/personalbranding/

まとめ 〜パーソナル・ブランディングの使い方〜

パーソナル・ブランディングを作ることによって、チーム内の関係向上やリーダーシップ研修、若手のキャリア開発、日頃の面談など、様々な場面で活かすことができます。

面談や1on1などの場面では、パーソナル・ブランディングがあることによって、上司からの問いかけやメンバーの気づきによって、停滞間のあった組織が問題解決に向けて一歩を踏み出す対話に繋がっています。

これまでは、一人一人のやりたいことがあり、組織での活動があることで、自然とエンゲージメントを高めることができていました。

しかし、今の組織の中では「やりたいことがわからない」という状態の方々が多くなっています。

その状態に対して、1on1や面談、マネジメントだけでは立ち向かうことが難しい状況があります。

社員一人一人の「パーソナル・ブランディング」によって、一人一人が本来持っている力を発揮したエンゲージメント向上を目指すことができます。

執筆者

堀井 悠

スターバックス、学習塾、リクルートを経歴し、大手・ベンチャーのカルチャーを経験。 人材組織開発コンサルティング企業で、自動車メーカー、食品会社、スタートアップ事業で企画、開発、講師を経験。 独自の理論「腹割り対話でつくる組織変革」を提唱。 モットーは「あした、また、がんばろう」と思えるチームを増やすこと。

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