キャリア自律を推進したいという企業様が増えています。一方で、キャリア自律の支援策を講じても、これまで通りの目標設定や漠然としたキャリアビジョンを描いただけで終わってしまい、現場での行動変容に繋がらない事例もあります。今回のコラムでは、キャリア自律を成し遂げる「目的」について解説します
働き方の多様化やエンゲージメントへの注目度が高まっている中、
キャリア自律を推進したいという企業様が増えています。
一方で、キャリア自律の支援策を講じても、これまで通りの目標設定や漠然としたキャリアビジョンを描いただけで終わってしまい、現場での行動変容に繋がらない事例もあります。
私たちが、受講者と双方向にやり取りをする中で見えた課題の一つに「詰まる目的」というものが見えてきました。
そこで、今回はキャリア設計やエンゲージメントに重要な「目的」について、見落とされてきた実態と育成戦略について考えていきます。
研修の中で目的は2つあると紹介しています。
詰まる目的=have to
「〜しなければいけない」などの義務や責務
伸びる目的=want to
「〜をしたい」などの情動や夢
この2つの違いは何か。
過去に私が学習塾の講師として子どもに接していた事例を紹介します。
自分から勉強を進め、勉強の面白さを実感して成績が伸びる子がいます。
このタイプの子に共通するのは
「〇〇高校に行って____部の一員になりたい」
「〇〇高校に行くと、____な自分になれそうだ」
こうしたwant toな目的を設定しています。
さらに、なぜwant toな目的を設定できたのか?
その答えは決まって、
「オープンキャンパスで憧れを持った」など、
一次情報に触れている傾向があります。
一方で、勉強の面白さがわからず、親や教師がなだめても難しい子がいます。
このタイプに共通するのは
「点数を取らなければいけない」
「〇〇高校に受からないとまずい」
こうしたhave toな目的を設定しています。
さらに、have toな目的を設定する子には
1.伝聞や推定などで意思決定を行い、自分から情報をとりに行く頻度が少ない
2.失敗した場合のリスクを親から聞かされ、危機感を抱いている
こうしたパターンをよく見かけました。
上記のケースの場合、ぶっちゃけて言いますと、「親に自信がない」ことが本質です。
自信のない親が、自分の子供にhave toを言い聞かせているのです。
では自信とは何でしょうか。
様々な説や定義がありますが、アスリートのコーチでもある私は「持論の質と量」と定義しています。
持論がある=条件が変わっても持論を応用して挑戦することができる
持論がない=条件が変わると全く応用が効かない=「わからない」
故に、持論がない人の特徴は「わからない」という言葉が多い傾向です。
ここまでの話をビジネスパーソンに整理しましょう。
詰まる目的を設定した大人
→「仕事をしないとまずい」と考える
→仕事の面白さがわからず、低モチベーション
→仕事に自信がない
→応用の聞く持論を言語化していない
→「わからない」が口癖になり、低モチベーションが続く
では対極の例を見てみましょう。
Want toな目的を設定している子は、勉強を面白がってどんどん進めます。
親とどのような会話をしているのかを聞くと、
「レベルの高い人と同じ部活を行えて、一生の財産になった」
「高校の時は想像もつかなかった面白い学問に出会うことができた」など、
実体験に基づくメリットやビジョンについて会話している例が多かった印象です。
これをビジネスパーソンに当てはめて、整理をしましょう。伸びる目的を設定した大人
→具体的な現地現物の情報に触れる
→「仕事をして____したい」という考えを持つ
→「____するために」自分の持論を確認する
→持論を活かして挑戦する
→仕事の面白さを実感する
→「こうしてみませんか」という提言が増える
伸びる目的設定の秘訣は「ブランディング」
伸びる目的を設定するために2つのことが欠かせないと考えています。1.自分から一次情報に触れる(外的資源分析)
2.自分の持論を言語化する(内的資源分析)
この2つがなければ、どんなに素晴らしい研修を企画しても台無しになると考えます。
その上で、提唱しているのがパーソナルブランディングです。
元々ブランディング自体が外的×内的資源を活用して「約束」を生み出す概念でした。
これを個人に落とし込むことで、キャリアにおける指針を生み出すことができます。
周囲と高いモチベーションを発揮しながら活躍する人材育成につながります。
伸びる目的を見つけ、自分自身をブランディングしませんか。
スターバックス、学習塾、リクルートを経歴し、大手・ベンチャーのカルチャーを経験。 人材組織開発コンサルティング企業で、自動車メーカー、食品会社、スタートアップ事業で企画、開発、講師を経験。 独自の理論「腹割り対話でつくる組織変革」を提唱。 モットーは「あした、また、がんばろう」と思えるチームを増やすこと。
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