「忙しくて1on1をやっていられない」という管理職の声が増えています。忙しい現場でも15分で納得感を生み出せる1on1があります。今回は、時短1on1を実行するための準備について解説します。
1on1ミーティングを日頃のコミュニケーションの流れで進めてしまい、部下からの信頼を失ってしまう上司の方々がいらっしゃいます。
1on1ミーティングは、部下の成長を支援しつつ、信頼関係を構築することによって、組織全体の成果を高めるための施策です。
この場を最大限活かすためには、上司の「対話の技術」が重要になります。
私たちアンドアが積み重ねてきた「対話の技術」を用いて、1on1ミーティングを効率的かつ効果的に進めるための事前準備の方法をご紹介します。
1on1ミーティングの目的は、部下の育成と成長促進です。
上司は部下の能力や意向に合わせた目標を設定し、それに向けてのアクションプランを立てます。
また、1on1ミーティングでは部下のパフォーマンスや課題を把握し、適切なフィードバックやアドバイスを提供することも重要です。
さらに、1on1ミーティングは信頼関係の強化やモチベーションの向上にも効果があります。
部下は上司との個別の時間を持つことで、自身の成長に向けたサポートを受けられることを実感し、仕事への意欲を高めることができます。
1on1ミーティングは上司にとっても、現場の声を聞き、自身や組織マネジメントを改善する機会になります。
上司は部下の意見や悩みを聞くことで、現場の声を正確に把握し、組織全体の課題や改善点を把握することができます。
1on1ミーティングを効果的に進めるためには、事前の準備が重要です。
以下に、1on1ミーティングの準備法を紹介します。
1on1ミーティングの具体的な流れを計画しましょう。
ミーティングの開始前から終了までの流れや時間配分を考え、スケジュールを作成します。
以下の図は、私たちがミーティングを計画する際に使用する全体像です。
1つずつステップを踏んで考えいくことが重要です。
まずは、今の状態を把握して、理解しておくことが必要になります。
1on1ミーティングでは、部下の仕事ぶりや達成した業務などを事前に把握しておき、上司が正しく仕事の現状を理解するために、メンバーの意見や提言による補佐をもらうことが重要です。
それとともに、自部署全体の様子や外部環境の変化も含めて、理解をしておくことによって、部下との対話を効果的に進めていくための手がかりが生まれます。
1on1ミーティングを実施する前に、部下のキャリアビジョンや目標についてもチェックしておきましょう。
日々仕事をしていると、目の前のタスクに集中してしまい、中長期的な視点を忘れてしまいがちです。
上司が、事前に部下の中長期的な目標を覚えておくことによって、部下の行動是正や新しい行動に対する評価を促すことに繋げることができます。
また、自組織のありたい姿も言語化しておきます。
例えば、「売上を120%向上させる」「全員がプロ集団として、顧客に対して新価値を提供する」など、自組織が目指すことを明確にすることによって、1on1を通して部下のエンゲージメントを高めることに繋がります。
現場の姿とありたい姿から、現在考えられる問題点を、事前に整理しておくことも必要です。
1on1ミーティングを行う部下が抱えている問題を、上司の目線から見て考えおくことによって、部下から出てくる問題や不安に対する解決策をともに考えやすくなります。
また、自組織の問題も包み隠さず、部下に話すことも必要です。
部下から話が出てこない時や、部下が自身の問題を話しにくくしている時にも、上司から進んで自組織の問題を開示することによって、信頼関係を構築することに繋がります。
問題が起きる原因を探っておきましょう。
1on1ミーティングでは、部下の問題を部下個人の問題にしすぎない配慮が必要です。
プロセスを考え直すことによって、仕組みや仕掛けの中にあるボトルネックを見つけておくことが有効になります。
「部下の〇〇ができてないからダメだ!」ではなく、「タスクが与えられた際に、段取りをせずにすぐに取り掛かってしまうことがボトルネックになっているね」など、プロセスのどこにその問題を生み出す鍵があるのかを考えておきましょう。
ボトルネックに対して、改善される目標を設定します。
事前準備では、上司が部下に対して、「どのような姿になっていて欲しいのか」という期待を明確にしておきます。
1on1ミーティングを進めていても、部下自身が自分が設定する目標に対して不安を抱えてしまい、行動できないことがあります。
上司からの期待を明確にしておくことで、勇気づけるコミュニケーションが取りやすくなります。
目標を達成するための打ち手を発散させておくステップになります。
特に、経験が浅い部下に対して1on1ミーティングを実施する際には、部下自身が問題解決の方法を見つけられないことがあります。
部下の成熟度に合わせて、上司が事前に目標達成に向けた打ち手を発散せておきましょう。
部下から引き出せることが、1on1ミーティングではベストとされていますが、私たちが実際に1on1ミーティングを支援する中で、上司から選択肢を与えることによって、部下の引き出しが増えることがわかっています。
打ち手を実際に実行に移すために、必要となる支援を考えておくステップです。
1on1ミーティングで誤解されやすい箇所ですが、目標達成や部下の成長に対して、上司から支援を申し出ることは、有効な手段です。
部下も1人では自分の習慣や考え方を変えることが難しいため、上司から「私に手伝えることは何ですか?」や「他の部署や同僚に助けてもらえるなら、どうして欲しいですか?」と聞けるように、事前にどのようなリソースが自部署にあるのかを考えておきましょう。
具体的な行動を計画した上で、部下に対して動機づけを行います。
自部署のあるべき姿、部下自身のあるべき姿から、目標と行動に対して「意味付け」を考えます。
論理的に話すこと以上に、ストーリーを話すことによって、部下の成長を後押ししていきます。
そのためにも、部下のモチベーション状態や興味関心があるテーマなどを事前に理解しておきましょう。
部下の気持ちを理解するためには、上司は部下の立場からの視点を把握することが重要です。
部下が抱えている問題や悩み、目標や希望など、部下自身の視点を理解することが大切です。
部下の立場から考えることで、部下の思考や感情を尊重し、共感することができます。
部下が成果を上げるために必要な要素を把握するために、部下に対してオープンなコミュニケーションを図ることも重要です。
部下に質問を投げかけたり、フィードバックを求めたりすることで、部下の意見や意図を明確にしましょう。
部下の抱えている重要なポイントや課題を把握することで、1on1ミーティングで的確なアドバイスやサポートを行うことができます。
前回のミーティングや部下との日常的なコミュニケーションで話された内容や進捗状況を確認し、次回のミーティングに役立つ情報を整理しましょう。
部下が抱えている課題や障害を把握することで、部下が成果を上げるための適切なサポートができます。部下の抱える問題や困難に理解を示し、協力して解決策を考えることが大切です。
また、部下が抱える課題だけでなく、部下の強みやポテンシャルも把握しましょう。部下が活躍できるように、適切なフィードバックや成長機会を提供することも重要です。
以上が、部下の気持ちを理解するための準備のポイントです。部下の立場からの視点を把握し、重要なポイントを把握することで、部下とより良いコミュニケーションを図ることができます。
ここまで準備を進めておくことによって、1on1ミーティングを効果的に実施することができます。
ただ一方で、1on1ミーティングに時間がかかりすぎてしまい、上司自身の負担が増えてしまうことによって、上司が1on1ミーティングへのやる気を失ってしまうこともあります。
ここでは、1on1ミーティングを効率的に進めていくための型をご紹介します。
砂時計の上側は、情報収集の幅を表しています。
会話の入り口は、テーマや情報も広く集めることによって、部下の興味関心を明らかにしていきます。
部下が自分から問題や課題を話し始めたところで、その課題に対して過去取り組んできたことや、成功した事例などを引き出していきます。
部下の中にあるリソース(過去の経験や人脈など)を明確にさせた上で、どのように課題解決を行なっていくのかを問いかけていきます。
ここでは、できるだけ短期的に解決できるようなアクションを引き出せるように問いかけの工夫が必要です。
アクションを実行していくために障害となる要素を取り除きつつ、期限を決めていきましょう。
上司から部下に対して提供できるリソースを提示することによって、部下のアクションをサポートします。
このように1on1のシンプルな4つの流れで進めることによって、
短時間でも成果が出せる1on1を実施することが可能になります。
15分でも部下の納得感を得る時短1on1の秘訣は、以下記事でより詳細に説明していますので、ご覧ください
1on1ミーティングを効果的に進めるためには、以下のポイントに留意してください。
これらのポイントを意識して1on1ミーティングを進めることで、部下とのコミュニケーションが円滑になり、成果を上げるための関わり方ができるようになります。
1on1ミーティグを進めていくための準備に対して解説をしてきました。
今回ご紹介した準備の仕方は、1on1ミーティングだけではなく、会議や面談などにも通じる「対話の技術」です。
質の高い準備を一度することによって、それ以降の1on1ミーティングや会議を、効率的に進めることができるようになります。
ぜひ自社内に「対話の文化」を作り出し、ともに成長し続ける組織を作り出していきましょう。
スターバックス、学習塾、リクルートを経歴し、大手・ベンチャーのカルチャーを経験。 人材組織開発コンサルティング企業で、自動車メーカー、食品会社、スタートアップ事業で企画、開発、講師を経験。 独自の理論「腹割り対話でつくる組織変革」を提唱。 モットーは「あした、また、がんばろう」と思えるチームを増やすこと。
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