「人的資本」や「エンゲージメント」の重要性が高まっている現代。
キャリア形成においても、社員一人一人の具体的な方向性が求められています。
パーパス浸透施策を通して、社員のパーパスを築く支援をする中で、多くの企業に共通する課題がありました。
それは、パーパスやキャリアが「抽象的な発散」で終わってしまい、現場での実効性が薄くなっているということです。
一方で、パーパス浸透とキャリア自律がうまく活用できている企業では、日頃のコミュニケーションの中に「相手の価値と仕事の価値を言語化する」という様子が見られます。
社員が組織と個人のブランドをお互いに尊重し、アイデアを出し合っています。
今回の講演では、社員一人一人の自律的なキャリア形成を促し、組織としてもパーパス浸透・エンゲージメント向上に繋がる新しい視点をお伝えしてきました。
目次
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これまでアンドア株式会社は、「あきらめを、きっかけに」というパーパスのもと、社員の本音を引き出す問いの技術を強みに、一人一人の想いと強みを発揮できる人材組織開発を行ってきました。
その中で、働く人々の本音に出会い、キャリア自律を阻む壁を発見していきました。
今回は3つの壁についてご紹介します。
ギャラップ社の調査によると、日本と世界の働きがいは年々広がりを見せています。
これは多大な外部環境要因もあります。その上で、今働く人々が自身の働いている意味や目的を持つことが難しくなっている環境にあると考えられます。
調査によると、今後のキャリアへの不安を抱えながら働いている人が70%以上いると言われています。
多くは「漠然とした不安」を抱えており、不安を明確に言葉にすることができておらず、不安を抱えている状態が常態化してしまっています。
博報堂生活総研の調査によると、「いくつになっても学んでいきたいものがあるか?」と聞いた質問に対して、2022年に「ある」と回答した30代は36.1%。
これは、25年前と比べると、18.2%も低下してしまっており、今働いている方々は「自分の学びたいものを決めることができない・持つことができない」という状況にあることがわかります
つまり、働きがいは世界最低水準で、今後のキャリアへの漠然とした不安があるものの、いくつになっても学んでいきたいことは見つからない三つ巴状態になってしまっています。
アンドアでも、これまで実施してきた研修約500案件で集計したデータから、”自分にはやりたいことがない”ということが、組織課題の中心にあるということがわかっています。
では、このような状況に対して、キャリア自律を推進し、社内にパーパスを浸透させ、エンゲージメントの向上を行うためには何が必要になるのでしょうか?
アンドアが考えるビジョンは、「自社らしさと自分らしさの重なりが、キャリア自立とパーパスの浸透になる」ということです。
ここは一般的にエンゲージメントと言われます。
また、その重なりは、周囲から感情が伴ったファンや機会を呼び集めることになります。それが「ブランディング」と呼ばれます。
アンドアは、社員一人一人の自律性・主体性、そしてエンゲージメントを高めていくために、企業のブランディングへの考え方を個人に転用させた「パーソナル・ブランディング」を提唱しています。
ブランディングの教科書(羽田康祐2020)によると、「ブランドとは、生活者からみた独自の役割を築き、”感情移入”が伴ったモノやサービスのこと」ということです。
元大手広告代理店出身の大門講師から、ブランディングの大切なポイントを伝えてもらいました。
「ブランディングという言葉のingが大切になり、行動としてやり続けていくことが必要。その行動によって、相手の感情をどう動かすかについて考えることが重要です。」
企業のらしさによって、感情移入の伴ったモノ・サービスを通して、人や機会を集めていきます。
一方で、個人のパーパスから日ごろのコミュニケーションを一貫して行う活動をなんと呼ぶのでしょうか。
私たちは、その活動を「パーソナル・ブランディング」であると名付けました。
パーソナル・ブランディングとは「ステークホルダーから見た独自の役割を築き、感情移入が伴ったモノ、サービス、それらを生み出す仕事のこと」と考えています。
仕事の中でどのように感情移入をもたらすのか。
そもそも、自分はどのような場面で感情移入をするのか、
パーソナル・ブランディングには“感情”を基軸にした自社・自己理解が欠かせません。
パーソナル・ブランディングがあることによって、感情移入を伴い、イキイキとした仕事を生み出すことにつながっていきます。
これが、キャリア自律そして、パーパス浸透ができた後のゴール像なのではないでしょうか。
今回は、パーソナル・ブランディングを支援した事例をご紹介します。
事例:異文化に困惑したスタートアップを一枚岩に
多様な国籍を持つ人々で構成されたスタートアップ企業で、一枚岩のチームを生み出すために、パーパス策定から浸透施策を実施しました。
その核になっていたのが、社員一人一人と対話しながら生み出されたパーソナル・ブランディングでした。
それを結集させ、自社の持っている多様性を価値に変え、顧客のインサイトを捉え直すことによって、チームをまとめ上げる「チーム・ブランディング」が完成しました。
これによって、一人ひとりの主体性・自律性を高め、チームとしても同じ目線で仕事に取り組むことができ、イキイキと働ける職場として成果を出し始めました。
では、どのように「パーソナル・ブランディング」を生み出したのでしょうか。
パーソナル・ブランディングを作るためには、3つのステップがあります。
STEP1:“快”を炙り出す
STEP2:自分のリソース分析 “レア”と“インサイト”
STEP3:自分ブランドの発信
この3つのステップに基づいて、図のようなワークシートをもとにパーソナル・ブランディングを進めていきます。
しかし、理屈でパーソナル・ブランディングを行なっても、感情移入を伴うことが難しいのも事実です。
そのため、Step1でどれだけピュアな自分の“快”=喜び・楽しさ・欲求を洗い出せるかが起点になります。
今回の講演では、STEP1に焦点を当て、大門講師より最新の脳科学の知見を含めて、 “快”についてご紹介します。
“快”を感じるホルモンは図にある3つがあります。
このホルモンは、私たちの本能や情動を司る脳の部分から出るものです。
だからこそ、私たちにはコントロールすることができないのが特徴です。
この3つがどのような幸福感なのかには違いがあります。
下の図をご覧ください。
こちらの事例にあるように、3つのホルモンには違いがあります。
ドーパミンは、一時的なモノになってしまっています。
仕事をしていると、ここばかりになってしまうことがありますが、他の2つの幸福感からも自分を考えていくことも必要になります。
このホルモンがどのような時、空間、場で出てくるのか。ということには、私たち一人一人のストーリーが存在しています。
「パーパス・ブランディング」を考えていくためには、3つのホルモン全体を考え、自分自身の“快”を考えていくことが必要です。
“快”を炙り出すというSTEP1によって、本当の感情移入が伴ったキャリア自律とパーパス浸透を進めていくことに繋がります。
ブランディングを進めてきた大門講師だからこそ、論理だけではなく、感情・幸福感を伴ったブランディングを進めていくポイントをご紹介いただきました。
本講演では、パーソナル・ブランディングの重要性と進めていくためのポイントを一部お話ししてまいりました。
社員一人一人がイキイキと働いていくためには、感情移入を伴った言動が必要です。
そのためにも、人の感情を尊重してマネジメントを行い、社員一人ひとりのキャリア自律と人的資本経営を支えるパーパス浸透を成し遂げてください。
併せて、下記資料もご覧ください。
HRカンファレンス資料:https://www.and-or.jp/download/hrconference2023_slide/
スターバックス、学習塾、リクルートを経歴し、大手・ベンチャーのカルチャーを経験。 人材組織開発コンサルティング企業で、自動車メーカー、食品会社、スタートアップ事業で企画、開発、講師を経験。 独自の理論「腹割り対話でつくる組織変革」を提唱。 モットーは「あした、また、がんばろう」と思えるチームを増やすこと。
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